漂う嫌悪、彷徨う感情。


「ごめん、美紗。 嫌な事ばっかり言って泣かせてゴメン。 折角の温泉旅行に、水差してゴメン」

勇太くんが、乾き切っていない中途半端に湿ったワタシの頭を撫でた。

「・・・手、濡れちゃいますよ。 髪、ちゃんと乾かしてないんです。 それに、佐藤さんは何も悪くないから謝らないでください。 変に泣いたりしてすみませんでした。 ・・・ワタシ、本当にそろそろお部屋に戻ります。 身体、冷えてきちゃったので。 佐藤さんも戻って下さい。 風邪引いちゃいます」

勇太くんの手から逃れる様に、頭を下げながら勇太くんの手を潜り抜け、2つのおまんじゅうの箱と、目に付いた味見もしていないおせんべいの箱を適当に掴み、レジへ持って行った。

小銭を見る事もなく、財布から1万円札を取り出し、会計皿に乗せる。

さっとお会計を済ませ、勇太くんに会釈もせずに早歩きで部屋へ急いだ。

胸のざわつきが、自分の嫌らしさを刺激する。

ワタシの事を諦められないと言っていた勇太くんに、喜び安堵した卑しい自分。

自分も諦めつかなくて、未練を引きずるみっともなさ。

情けなくて、申し訳なくて、悲しくて、辛くて。

ワタシはまた、勇太くんから逃げた。