「嘘吐き。 ここは会社じゃないんだから嘘なんか吐かなくていいよ。 さっきの甘さ控えめだったじゃん。 美紗、甘ったるいの好きじゃん。 オレに気遣った??」
勇太くんが、ワタシの手に持たれたおまんじゅうの箱を、今食べたおまんじゅうが詰められた箱と取り替えた。
勇太くんに気を遣ったわけじゃない。 性懲りもなく、諦め悪く勇太くんの事が好きだから、勇太くんが食べられそうな方を選んだんだ。
甘さの弱いおまんじゅうを買ったところで、甘い事には変わりないから、勇太くんは食べないだろうのに。
「・・・じゃあ、これとさっきのおまんじゅうを買います。 甘い方をお母さんのお土産にします」
勇太くんによって元の位置に戻されたおまんじゅうの箱を再度手に取った。
お母さんに・・・。 お母さんには、まだ結婚がダメになってしまった事を話せていない。
勇太くんとの結婚を、涙を流しながら喜んでくてたお母さん。
お母さんに申し訳なくて、お母さんの悲しむ顔を見るのが辛くて、でも言わないわけにもいかなくて。
だから、なかなか実家に行こうとしない自分に『お母さんにお土産を渡す』というミッションを課した。



