「・・・佐藤さん、甘いもの食べられないじゃないですか」
戸惑いながらおまんじゅうを受け取ると、
「でも、全部試食してたら夕食の時にお腹いっぱいになっちゃうじゃん。 美紗、海鮮楽しみにしてたんだろ??」
怒っていたはずの勇太くんの表情が一気に陰った。 切なげに笑う勇太くんの顔が、ワタシの涙を誘う。
勇太くんの気持ちに応えたいのに、出来ない。 大好きなのに。 ワタシだって、この気持ちを伝えたいのに。
悔しい。 悲しい。
「1人で決められますよ。 子どもじゃないんですから」
歯を食いしばり、ワタシも笑って見せた。
「でも、いっぱいは食えないでしょ?? フードファイターじゃないんだから」
勇太くんが、おまんじゅうを持つワタシの手にそっと触れると、そのままワタシの口元におまんじゅうを近付けた。



