漂う嫌悪、彷徨う感情。


「変な誤解で日下さんに迷惑を掛けたくないので、それは否定しておきます。 日下さんとワタシはお付き合いしていません。 なので、そういう事ではありません。 確かに今日、日下さんに縋って旅行に来ました。 自分で招いた事態と分かっていても、やっぱりしんどくて、少しの間だけでも現実から逃げたかったんです。
日下さんは優しいから、今後も頼れば手を差し伸べてくれると思います。 でも、彼女でもないワタシが、しゃあしゃあとそんな事をしてはいけないと思っています。 日下さんの困者にはなりたくない。
ワタシの事は、ワタシで何とかしますという意味です」

勘違いしているだろう勇太くんを訂正する様に話すと、

「言ってる事が矛盾だらけだね。 自分の事を自分で何とか出来なかったから、和馬くんに縋ったんだろ?? 彼氏でもない男と何をしに温泉に来たんだよ」

勇太くんが眉毛をピクつかせ、怒りを放ちながら鼻で嗤った。