漂う嫌悪、彷徨う感情。


「違うよ。 今、家族と旅行なんかしたくもない」

ワタシの質問に不快感を露わにしながら答える勇太くん。

嫌悪感を隠しもしなかったワタシの態度がそうさせたのだろう。

「・・・もし、その理由にワタシの事が関わっているなら、気にしなくて大丈夫ですよ」

「・・・もう、自分には関係のない事だから??」

口の中のおまんじゅうを飲み込んだ勇太くんがワタシを見た。

「そんな無責任な事を言いたいんじゃなくて・・・もし、佐藤さんの家に変な空気が流れているんだとしたらワタシのせいだと思うから・・・ワタシなら大丈夫なので・・・というつもりで言ったのですが・・・」

勇太くんの怒っている様な、悲しんでいる様な強い視線に、喋る言葉が震えてしまった。

「和馬くんがいるから大丈夫って事??」

勇太くんの質問が、さっきから刺々しい。

自分と結婚する約束までしていた女が、無神経に他の男と温泉に行っているんだ。 当然だ。