漂う嫌悪、彷徨う感情。


「・・・どうしてここに小田さんがいるの??」

未だにおまんじゅうを口の中に入れたままモゴモゴ喋る勇太くん。

「小田ちゃんと一緒に来たんじゃないんですか??」

「なんでオレが小田さんと一緒に温泉に来るの??」

勇太くんの質問を質問で返事をすると、更なる質問が返ってきた。

勇太くんの口振りから、勇太くんは小田ちゃんと一緒に来たわけではないようだ。

じゃあ、誰と?? ・・・まさか。

「・・・・・・家族旅行・・・ですか??」

急に血の気が引き、湯冷めをしたかの様に寒気がしてきた。

ここに真琴ちゃんもいるかもしれない。

呑気にお土産を選んでいる場合じゃない。 

真琴ちゃんと鉢合う前に部屋に戻ろうと、手に持っていた爪楊枝をゴミ箱に捨てようとするが、動揺の余り、至近距離から放ったにも関わらず外してしまい、爪楊枝は床の上に転がった。

それを拾おうとすると、勇太くんがしゃがんで爪楊枝を拾ってくれ、ゴミ箱に捨ててくれた。