爪楊枝の刺さった試食用のおまんじゅうを1つ摘まみ、少し齧ってみた。
美味しい・・・が、別腹の存在を感じる事が出来ない。 しっかりいつもの腹の中に入ってきた。
結構お腹に貯まるな、おまんじゅう。
爪楊枝の先にある、一口食べてしまったおまんじゅうを見つめる。
試食のお皿に戻すわけにもいかないから食べるしかないんだけど、今キミにお腹を満たされては困るのだよ。 と、心の中でおまんじゅうと会話。
『働け、胃酸!! 今から入ってくるおまんじゅうは、すぐさま消化するんだぞ!!』と自分の胃にまで念を送り、残りのおまんじゅうを口に運ぼうとした時、誰かがおまんじゅうを持つワタシの手を掴み、そのままおまんじゅうに喰らいついた。
「夕食、食べれなくなっちゃうよ。 美紗」
ワタシの食べ差しのおまんじゅうを食べたのは、勇太くんだった。



