漂う嫌悪、彷徨う感情。


「諦めなければいけないのは分かっているんです。 結婚したくない美紗と無理矢理出来るわけがない事も分かっているんです。 美紗を不幸にしたくない。 美紗が幸せになれるなら、引かなければいけないと分かっているんです。 ・・・知り合いに言われたんです。 『アナタの両親が年老いて、認知症などを発症して介護が必要なる時がくるかもしれない。 そういった症状が出た人間は、本心でなくとも暴言を吐く事がある。 自分を虐め倒した人間の親の暴言に、美紗を晒す事が出来るのか??』って。 オレ、答えられなかったんです。 結婚したい気持ちは変わらない。 でも、美紗の幸せを願うのであれば、結婚はしてはいけないのかもしれません」

頭では全部分かっているのに、それでも美紗を失いたくないオレは、美紗のお母さんに反対されて、拒否されて、とどめを刺して欲しいのかもしれない。