「・・・オレ、今、どうしたらいいのか分からないんです。
オレ、美紗に軽々しく『イジメは昔の話だろ??』って言ってしまったんです。 でも美紗にとっては『思い出したくない、消してしまいたい過去の記憶』でした。 オレと結婚すれば、嫌でもその記憶は掘り起こされる。 美紗にとっては地獄の3年間が、ずっと付きまとってしまう。 『オレはオレ。 真琴とは違う』と言っても、美紗からしたら『加害者の兄』になってしまう。 ・・・美紗に言われたんです。 『結婚出来ない』って。 美紗、自分から婚約破棄言い出したからって、自分の責任だからって、オレが周りから変な目で見られない様に、会社で嘘吐いてるんです。 『自分の浮気で結婚がダメになった』って。 もちろんすぐに訂正しようとしました。 でも、『ワタシがかつてイジメられっ子だった事はみんなに言わない欲しい。 ワタシのプライドを守って欲しい』と美紗に口止めされてしまって・・・美紗、今会社で1人ぼっちなんです。
すみません。 美紗に辛い思いをさせてしまって、本当に申し訳ありません」
美紗のお母さんに追い打ちをかける様に、過去だけではなく、現在までも辛い状況にいる美紗の状態を話すと、涙が止まらなくなった美紗のお母さんが、またボックスからティッシュを数枚抜き取った。



