「・・・とりあえず、話てくれる??」
オレの嫌な予感しか招かない前置きに、美紗のお母さんの顔が歪んだ。
すぅっと息を吸い込み、覚悟を決めて言葉を吐く。
「・・・先日、オレの家族に会わせる為に、美紗を実家に連れて行ったら、美紗、突然過呼吸になってしまって・・・」
「・・・・・・え??」
美紗のお母さんの目が、大きく開いた。
「・・・美紗、中学の時にイジメに遭っていた事、知っていましたか??」
「・・・・・・」
言葉を失くし、固まる美紗のお母さん。
美紗のお母さんは、きっと知らなかったのだろう。
「・・・3年間、ずっと虐められていたんです。 それも、壮絶で卑劣なやり口のイジメです。 美紗はそれに、3年間耐え続けていました。 ・・・美紗を虐めていた首謀者が・・・オレの妹でした。 妹の顔を見た途端、美紗が過呼吸を起こしたんです。 本当に申し訳ありませんでした。 謝って許される事ではないのは分かっています。 すみません。 すみません。 すみません」
再度頭を下げる。
目をみて話すべきなのは分かっているのに、やっぱり頭を上げられない。



