心が折れそうになる自分に、『今までもっと辛い事あったじゃないか』『中学3年間、耐えられたでしょうが』と喝を入れ、強引に心を立て直し、ワタシも自分のデスクに戻った。
パソコンのキーボードを叩きながら、いつになるのか分からない引き継ぎの資料作りを再開していると、
「木原さん、プレゼン資料作り手伝ってもらえる??」
頭上から、聞くだけで涙が出てきそうな声が聞こえた。
動揺しそうな自分を必死で抑え、
「はい。 もちろんです」
平静を装い、なんなら笑顔さえ作って、その声の主である勇太くんに返事をした。
仕事は仕事。 きっちりやる。
だって、これは勇太くんの優しさだ。
婚約破棄をしたワタシと、今まで通りに仕事をしてくれる優しい勇太くん。
嬉しい。 有難い。 だから余計に辛い。 でもだからこそ、頑張ってやり切りたい。



