漂う嫌悪、彷徨う感情。


玄関でひとしきり泣き、少し落ち着きを取り戻すと、お風呂に行って熱めのシャワーを浴びる。 お風呂から上がり、ドラーヤーで髪を乾かすと、そのままベッドへ倒れ込んだ。

泣き疲れていた為、目を閉じるとすぐに深い眠りへ。

そして疲れも取れぬまま、あっと言う間に朝が来た。

また、1日が始まった。

勇太くんを好きになってから、会社に行くのが楽しみで仕方なかった。

会社に行きたくなかった事なんか、1度もなかったのに。

仕事で嫌な事があろうとも、そんな事よりも勇太くんに会いたかった。

それなのに、今となっては何を置いても勇太くんに会いたくない。

結婚出来ないのに、どうしても目で追ってしまうから。

それでも会社に行かなければならない。

休んだりしたら、ワタシのいない間に勇太くんが余計な行動をしてワタシを庇い兼ねない。

ワタシとの結婚を願ってくれる勇太くんの気持ちを無碍にする、ワタシに出来る償いは、勇太くんの立場を守る事くらいしかない。

真琴ちゃんの事を気にせずに結婚出来たらどんなに良いだろう。

だけど心の狭いワタシは、脳裏にこびり付いたあの日々を、恐怖を、赦す事が出来ない。

「・・・よし、会社行こう」

自分を奮い立たせ、出社準備をしてアパートを出た。