「大丈夫です。 1人で帰れます。 ・・・あ、日下さんに送ってもらうのが嫌とかじゃないですよ!! 本当に1人で帰れるので。 普通に大人なので。 ・・・あの、今日、ありがとうございました」
余りにも避けすぎている自分の態度が、日下さんを嫌っているように見えている様に思えて、変な誤解をされたくなくて先周りをして弁解をする。
「送らせてもくれないー。 ホントに嫌じゃないの?? オレの事。 てか、何の『ありがとう』だよー??」
日下さんが困った様に笑った。
「本当に嫌じゃないですから!! 自分で出来る事をひとに甘えるのが嫌なんです。 ・・・中学の時にイジメに遭ってから、他人から嫌われるのが怖くて・・・。 誰かの負担になって嫌われる様な事は避けたいんですよ。 ・・・『ありがとう』は、真琴ちゃんの悔しそうな顔を見させてくれて『ありがとう』です。 ・・・ワタシ、超性格悪いですよね。 でも、スッとしたんです。 あの頃の仕返ししてやった!! って気になったんです」
『ニイ』と日下さんに笑い返すワタシの顔は、どれだけ意地悪な表情をしているだろう。



