漂う嫌悪、彷徨う感情。


「多大なるご無礼、大変申し訳ありませんでした。 ・・・でも、じゃあなんでですか??」

丁重に謝れと言われた為、堅めの日本語をチョイスして、あまり謝意のないお詫びを申し上げてみる。 だってそもそも日下さんの行動に問題がある。 金銭を要する嘘は、ワタシ的にいただけない。

「美紗ちゃんさぁ、しんどいんじゃないの?? 会社」

ちゃんと・・・ではないが一応謝ったというのに、日下さんはワタシの『なんで』に答えてくれず、逆に今関係ないだろう質問を返してきた。

「今そんな話してないじゃないですか。 ワタシの質問に答えてくださいよ」

なので話を戻す。

「なんでって、美紗ちゃんと行きたいなーって思ったからに決まってるじゃん。 美紗ちゃん、辛そうだからさ。 至れり尽くせり上げ膳据え膳海鮮三昧で、美紗ちゃんがその時だけでも楽しい気持ちになれればいいなと思ったんだよ。 ストレスはお肌に出るよー。 温泉に使ってしっとりスベスベになればいいじゃん。 だから行こうよ、美紗ちゃん」

日下さんがワタシに顔を寄せ、ワタシのお肌のコンディションをまじまじと見た。