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「わかったわかった、パペットでも何でもいい…ちゃんと仕事は果たすぜ」
アルバは、結局その結論を選択することとなった。
過去の自分と、妻の目と──そのこまっしゃくれた小娘が、妻の料理を好きという言葉を信じて、だ。
過去一度、彼らを移送したアルバは、きっちり今も生きている。
本当に知られたくないと思ったのならば、記憶を操作するなんて回りくどいことをするより、さっさと殺してしまえばいいのに、だ。
と、かっこよくアルバが、心の広い男っぷりをアピールしていたというのに。
「眠いか?」
サンドの手が、プァンスの肩にかかっていた。
彼女は、うつらうつらと船をこぎはじめているではないか。
このアマ。
肩すかしをくらって、アルバはグレかけたが──しかし、気が抜けてもいた。
食って寝て泣いてわめいて。
ただの小娘にしか見えないのに、世間では死の人形と呼ばれているのだ。
尾ひれ、つきすぎだろ。
アルバは、苦笑した。
くったりした彼女を、サンドが抱き上げる。
いつものように、寝室へ連れて行くのだろう。
「……」
そんな、サンドの足が止まって。
ゆっくりと振り返って、そのまだらの目に二人を映した。
「…彼女を、怖がったり哀れんだりしないでくれて…感謝する」
礼を言う表情ではなかった。
ただの、真顔。
それでも、彼なりの感謝だということは、同じ男としてアルバには伝わった。
「んなこたぁ、どうでもいいから…ちったぁ夜は静かにしろよ」
男に感謝されるなんて、こっぱずかしくて真正面から受け止められるものではない。
アルバは、照れ隠しに夜のことをひやかしてやった。
サンドが、ふと動きを止めた。
「食事中の彼女は…私にはどうにも出来ない」
言い置くと。
彼は、寝室へと消えて行った。
へ?
食事?
「食事っつったか、いま?」
アルバは、唖然としながら側のチナに問いかける。
「サンドは、プァンスのご飯なんですって」
うふふ。
微笑む妻とは裏腹に、アルバの脳裏には『カニバリズム』なる、危険な単語が飛び交ったのだった。
「わかったわかった、パペットでも何でもいい…ちゃんと仕事は果たすぜ」
アルバは、結局その結論を選択することとなった。
過去の自分と、妻の目と──そのこまっしゃくれた小娘が、妻の料理を好きという言葉を信じて、だ。
過去一度、彼らを移送したアルバは、きっちり今も生きている。
本当に知られたくないと思ったのならば、記憶を操作するなんて回りくどいことをするより、さっさと殺してしまえばいいのに、だ。
と、かっこよくアルバが、心の広い男っぷりをアピールしていたというのに。
「眠いか?」
サンドの手が、プァンスの肩にかかっていた。
彼女は、うつらうつらと船をこぎはじめているではないか。
このアマ。
肩すかしをくらって、アルバはグレかけたが──しかし、気が抜けてもいた。
食って寝て泣いてわめいて。
ただの小娘にしか見えないのに、世間では死の人形と呼ばれているのだ。
尾ひれ、つきすぎだろ。
アルバは、苦笑した。
くったりした彼女を、サンドが抱き上げる。
いつものように、寝室へ連れて行くのだろう。
「……」
そんな、サンドの足が止まって。
ゆっくりと振り返って、そのまだらの目に二人を映した。
「…彼女を、怖がったり哀れんだりしないでくれて…感謝する」
礼を言う表情ではなかった。
ただの、真顔。
それでも、彼なりの感謝だということは、同じ男としてアルバには伝わった。
「んなこたぁ、どうでもいいから…ちったぁ夜は静かにしろよ」
男に感謝されるなんて、こっぱずかしくて真正面から受け止められるものではない。
アルバは、照れ隠しに夜のことをひやかしてやった。
サンドが、ふと動きを止めた。
「食事中の彼女は…私にはどうにも出来ない」
言い置くと。
彼は、寝室へと消えて行った。
へ?
食事?
「食事っつったか、いま?」
アルバは、唖然としながら側のチナに問いかける。
「サンドは、プァンスのご飯なんですって」
うふふ。
微笑む妻とは裏腹に、アルバの脳裏には『カニバリズム』なる、危険な単語が飛び交ったのだった。


