VS IV Omnibus2 パペット



「あんたらがパペットで、俺らに移送の依頼をしたのは、これで2回目ってことだな」

 アルバは、長い間プァンスに泣かれて、その音量で頭を痛めていた。

 泣いていた張本人は、いまは桃のタルトとやらで、ご機嫌そうだ。

「そーだよ…前も、途中でアルバが、パペットって知ったじゃない」

 山積みのタルトを、一個ずつ口の中に放り込んでいきながら、アルバの記憶のない話をしていく。

 大体、勝手に記憶をいじんなっつうの。

 いじられたにも関わらず、チナがうっすら覚えているのに、自分が綺麗さっぱり忘れている事実も腹立たしい。

「記憶はね…私達が消してもいいよって、ちゃんと同意したのよね」

 タルトをひとつ、アルバの前にも置きながら、チナが笑う。

「そ…そうだったか?」

 妻にまた心を読まれた気がして、アルバは顔をそらした。

 本当に、何も覚えていないのだ。

「『また、記憶を消してもいいから、オレたちを頼ってこいよ』って、あなた言ったじゃない」

 そんな、チナの声を聞いた時。

 あ。

 アルバの脳裏が、微かに点滅した。

 どこかで、聞いたことのある言葉に感じたのだ。

 これか。

 この感覚を、ずっとチナは感じていたのか。

 だが。

 それは、ある意味、何よりもすごい太鼓判だった。

 過去の自分が、彼らを気に入っていた、という。

 その言葉を頼って、彼らはもう一度アルバに依頼をしてきたのである。