◎
ハァハァ、と。
プァンスが、涙を流しながら全身で呼吸を繰り返す。
チナは、慌ててタオルを取り出した。
駆け寄って、差し出す。
サンドは──拒まずに受け取った。
それで顔を拭いてやるのではなく、プァンスの手に握らせる。
赤ん坊のように、彼女はそれをぎゅうっと両手で握り締めた。
みな。
心配しすぎなのだ。
アルバは、二人をパペットだと慌てているし、この二人はチナを怖がるし。
けれども。
チナの頭の中のパズルが、この二人にとって邪魔だと言うのなら。
「プァンスが困るなら、綺麗に忘れるわ…きっと私なら出来るから」
パズルなど、またバラバラに混ぜてしまえばいいのだ。
はっと。
タオルを握り締めるプァンスが、顔を上げてこっちを見た。
「やだ! やっぱやだ…チナ…忘れないで…私を忘れないで!」
泣きながら、半端に成長してしまったプァンスが、チナに訴える。
「何度でも、プァンスって名前を私につけて! 王子様って呼んで!」
パズルが、パチパチとはめこまれていく。
忘れていた記憶──いや、忘れさせられていた記憶が、もう一度チナの中に組み上がっていくのだ。
前回もこうして、彼らを危ない星まで運んだ記憶だ。
彼女らは、人に素性を知られてはならない。
だから、仕事が終わった後に、サンドが彼らに記憶処置を施したのである。
パペットを運んだことなど、何も覚えていないように。
ハァハァ、と。
プァンスが、涙を流しながら全身で呼吸を繰り返す。
チナは、慌ててタオルを取り出した。
駆け寄って、差し出す。
サンドは──拒まずに受け取った。
それで顔を拭いてやるのではなく、プァンスの手に握らせる。
赤ん坊のように、彼女はそれをぎゅうっと両手で握り締めた。
みな。
心配しすぎなのだ。
アルバは、二人をパペットだと慌てているし、この二人はチナを怖がるし。
けれども。
チナの頭の中のパズルが、この二人にとって邪魔だと言うのなら。
「プァンスが困るなら、綺麗に忘れるわ…きっと私なら出来るから」
パズルなど、またバラバラに混ぜてしまえばいいのだ。
はっと。
タオルを握り締めるプァンスが、顔を上げてこっちを見た。
「やだ! やっぱやだ…チナ…忘れないで…私を忘れないで!」
泣きながら、半端に成長してしまったプァンスが、チナに訴える。
「何度でも、プァンスって名前を私につけて! 王子様って呼んで!」
パズルが、パチパチとはめこまれていく。
忘れていた記憶──いや、忘れさせられていた記憶が、もう一度チナの中に組み上がっていくのだ。
前回もこうして、彼らを危ない星まで運んだ記憶だ。
彼女らは、人に素性を知られてはならない。
だから、仕事が終わった後に、サンドが彼らに記憶処置を施したのである。
パペットを運んだことなど、何も覚えていないように。


