◎
アルバは、すっかり二人を警戒してしまったが、チナは上機嫌だった。
なぁんだ、と。
プァンスとサンドと、彼らは顔見知りだったのだ。
だから、こんなにいろいろ、手に取るように分かる。
「ねえ、チナ」
厨房にいる彼女のところに、プァンスが顔を出した。
珍しいことだ。
食事を終えたら、いつも眠る彼女が起きている。
「なぁに? おやつ?」
チナは、次の食事の下ごしらえの手を止めた。
「おやつも欲しい~…でも、その前に聞いていい?」
見えるのは、プァンスだけ。
でも、すぐ物陰にサンドがいるのも分かる。
あの香りがするのだ。
「なぁに?」
おやつかぁ、何を用意しようかなあ。
チナの頭は、半分だけおやつのメニューを考えていた。
「アルバ、私がパペットってこと、気づいたでしょ?」
おやつ、おやつ、うーん。
って、ん~?
チナは、思考の半分を元の脳みそにくっつけた。
「パペット? ああ。そういえば、そんなことを言ってたかしら」
答えた後、また半分をおやつに戻す。
「果物のタルトとかどう?」
ぽんと。
やっといい案が浮かんで、チナは手をたたいた。
振り返ると、少し機嫌を損ねたようなプァンスの顔。
「タルトは好きじゃないのね…じゃあねぇ」
脳内をふわりと飛び回る、パズルピース。
どこにはまろうか、探しているかのようなその破片。
「違うって…タルトでいいの! そっちじゃなくて」
チナのパズルピースを叩き落とすように、プァンスが割って入る。
「タルトね…じゃあ乗せる果物は…桃ね? そうでしょ?」
瞬間。
プァンスが、横を見た。
彼女の夫がいる方だ。
「どうしよう」──という、心配そうな横顔だった。
アルバは、すっかり二人を警戒してしまったが、チナは上機嫌だった。
なぁんだ、と。
プァンスとサンドと、彼らは顔見知りだったのだ。
だから、こんなにいろいろ、手に取るように分かる。
「ねえ、チナ」
厨房にいる彼女のところに、プァンスが顔を出した。
珍しいことだ。
食事を終えたら、いつも眠る彼女が起きている。
「なぁに? おやつ?」
チナは、次の食事の下ごしらえの手を止めた。
「おやつも欲しい~…でも、その前に聞いていい?」
見えるのは、プァンスだけ。
でも、すぐ物陰にサンドがいるのも分かる。
あの香りがするのだ。
「なぁに?」
おやつかぁ、何を用意しようかなあ。
チナの頭は、半分だけおやつのメニューを考えていた。
「アルバ、私がパペットってこと、気づいたでしょ?」
おやつ、おやつ、うーん。
って、ん~?
チナは、思考の半分を元の脳みそにくっつけた。
「パペット? ああ。そういえば、そんなことを言ってたかしら」
答えた後、また半分をおやつに戻す。
「果物のタルトとかどう?」
ぽんと。
やっといい案が浮かんで、チナは手をたたいた。
振り返ると、少し機嫌を損ねたようなプァンスの顔。
「タルトは好きじゃないのね…じゃあねぇ」
脳内をふわりと飛び回る、パズルピース。
どこにはまろうか、探しているかのようなその破片。
「違うって…タルトでいいの! そっちじゃなくて」
チナのパズルピースを叩き落とすように、プァンスが割って入る。
「タルトね…じゃあ乗せる果物は…桃ね? そうでしょ?」
瞬間。
プァンスが、横を見た。
彼女の夫がいる方だ。
「どうしよう」──という、心配そうな横顔だった。


