「ええ、まあ。そのつもりだったんですけど。彼女があまりにも可愛くて自由を奪うのが惜しくなったんですよ」

 「…のろけか」

 「そのようなものですね」

 「…情報屋にも合わせたらしいな」

 「…ええ。彼女を守ってくれる存在は多い方がいいですから」

 「…一人で身を隠すつもりか?」

 責めているような声色が、鷭には不思議だった。

 「まさか。彼女を守れるのは僕だけですから。でも近い将来僕は必ず裏世界からの制裁を受けるでしょう。少し勝手がすぎたみたいです。だから君にお願いがあります」

 「…お願いをしにこんなところまできたのか」

 「いえいえ。僕は古い友人である君に会いたかった。そのついでのお願いです」

 「…お前、甘言師にむいてるぞ」

 「いえいえ。僕はあくまで掃除屋。殺ししか能の無い男ですから」