甘言師、臥雲旦陽の甘い毒


 「…疑ってすいません…自分でもどうしていいか…わからないんです…助けてくれるって聞いたから来たのに…突然動機とか…すいません…でも…話します…もういいです…仮に騙されて警察に突き出されても…もう諦めます…逃げるのも…捕まることに怯えることも…疲れました…」

 ため息交じりに天井を見上げての言葉に、国府谷は無意識に拳を握っていた。

 「間が、さしたとでもいいましょうか…特に理由はないんです…でも無性に…妻を殺したくなったんです…でもその後で後悔しました…そして恐ろしくなり逃げ出した…今頃警察が家に来て色々調べているでしょう…犯人はすでに私だと気づかれているかもしれない。…だからどうか…助けてください」

 話の間、一度も小野は二人は見なかった。

 感情の吐露としてはあまりに味気なく、無感情と言うには物足りない。

 そんなまるで他人事のような語り口調であった。