「好きだ」



この3文字がどうしても言えなかった。



「またね」



この3文字しか言えなかった。


昔の俺はいつか伝えればいいんだ


とばかり思っていた。


でも気づいたときには遅すぎた。


俺は目に涙を溜めながら



「またね!」



と言っていた。


手を振りながら車に乗って千里の姿が見えなくなるまで


車の後ろで手を振り続けた。



「好きだ」



車の中でようやく言えたこの言葉。


何回この言葉を言ったのか覚えてない。


けど…


たくさん言ったことだけは覚えてる。


泣きながら何回も言った。


その涙は…


きっと…


もうこの想いは…


この言葉は…


千里には届かないと分かったから。


俺は後悔した。


千里にこの想いを伝えなかったことを。


純粋に…


ただ…


好き


なんだ。