「そんなに知ってるわけじゃのないか…」
「うん。あんまり知らないかも。そんなに話したことないし、お世話になった記憶もないし。
それにあたし、蒼依先輩のことぶっちゃけ苦手……だったし。綺麗だとは思うけどね」
「そっか~。
まぁそういうわけだから、もし杏奈が俺の学校に受かったら、多分一緒に登下校出来なくなる」
「あ~それを言いたかったのね。べっつにあたしは全然構わないけどね~。
あっ、でも美優とは多分一緒には行けないんだ…。まぁなんとかするから気にしないで」
うーん、なんだろ?
このチクチクとした胸の痛みはなんなんだろ……?
いまいちなんなのかがわからない――。
真琴を心配させないようにその痛みをスルーして
無理矢理笑顔を作った。
――いや。
この時のあたしは、多分気付かないフリをした、
といったほうが正しいだろう。

