「…さっき、仕事が終わってさ。……で、先生に『受験生見てこいよ』
とか言われて、ちょうど杏奈のこと気になってたし、見に行こうかなって思って。それで来てみたんだけど…今の中学生って、みんなあんな感じなのか?」
「そっかぁ。中学生はいつもあんな感じじゃん、真琴だって一年前までは中学生だったでしょ~。ことあるごとに無邪気に騒ぐのは中学生の特権」
「まあ~そうなんだけど。それもそうだな。たしかに騒ぐのは中学生の特権だよな」
「でしょ?ってか…仕事ってなにやってたの?」
「――内緒」
人差し指を口に当て微笑みながら、真琴はそう答えた。
「え~、言ってくれても良いよね!」
「良いじゃん、言わなくて。ところで杏奈、どうだった、テスト」
「いつも通りだったよ。真琴が教えてくれたとこ、バンバン出た。ホント助かったよ。あ…、一つ言うとしたら数学がいつも以上に解けことかな~?」
「マジで!?良かったじゃん。俺が教えたおかげだな、きっと」
「うわ~、自意識過剰。まあ、そういうことになるんだけど…。とりあえずあと一教科だし頑張るね」
「…フッ、後悔だけは、すんなよ」

