あたしの1番大切な人



真琴は自分のかっこよさを理解してなくて
ホント困る。


ほら今だって―――…


『あの先輩かっこいい~』
『え~っ、あれ真琴先輩じゃない?』
『女子達が騒いでる真琴先輩ってあれ?うわやべ、マジかっこいい。男の中の男って感じじゃね』

受験生の女子や男子が、ヒソヒソ、ヒソヒソと、聞こえないように
話しているのが聞こえる。


――本人は全く気付いてないみたいだけど…

はぁ…。
大きなため息ついちゃった…。


ドアのほうにいた真琴に話しかけた。
というよりは、口パクで真琴が気付くように仕向けた。


「…真琴あっち、あっち行こう」


これを何回か繰り返しているうちに
真琴がやっと気付いたみたいで、真琴も口パクで


「おぅ。行くか」


って言われて、急に真琴に手を引かれて走り出したので
着いていくのにかなり、精一杯だった。


ちょうど手を引かれたときに、真琴ファン(?)の受験生(主に女子)にけっこう大きな声で


『……なにあの子~っ』
『あの女、真琴先輩のなに~っ!?』
『あの女、真琴先輩の彼女~っ!?イヤ~っ』
『なんであんな子が!?』


――グサグサッ


聞こえてますよ、
彼女でもないし、真琴とは幼なじみなだけで、なんでもないよ。
そんなことを言えたらどんなに楽か……。


てか最後のなんであんな子が?
っていうのは聞きづてならないわ。


そんなもん、
あたしが知るわけないだろ~っ!!