「てか、杏奈のほうはどうなのよ。美優ばっかいつも話してるの、なんかイヤ。なんかないの~?杏奈の恋バナ」
「え、なんもないよ。あたしの恋バナなんてあるとしたって、『あの人超かっこよかった~』とかだよ?」
「……うーん、そういう話もあんまり聞いたことないけどね」
「そりゃあさ、かっこいい人がいれば言うけど、いなかったらわざわざ言う必要性ないでしょ?」
「え~、つまんなっ。で、真琴先輩はどうなの」
「…は?どういうこと」
「――だーから、好きか嫌いかっ」
「それは恋愛対象として見て?」
「当たり前」
「……は、なに言ってるの。いつも言ってるじゃん、真琴は関係ないって」
「――そうだけど、まあ実際のところ真琴先輩はどうなんだろ?」
「え、どういう…」
「そっち見てみて?」
「なんで?」
美優に言われ、美優が指を指した方向を見てみた。
「――――っ」
――なんで――
「ね?」
「――っ、行ってくる」
「はいはーい」
くそぅ、美優のやつめ、絶対かなり面白がってる…。
美優の顔が物語ってる。まったくもう、ホント顔に出やすいんだから。
「杏奈行ってらっしゃ~い」
席を離れ、あたしは真琴のほうに向かった。
なんで、…なんであそこにいるの?

