「……なに、」
「……はあぁ。なんでそんなに機嫌悪いわけ?」
「はぁ!?機嫌なんか悪くないけど!何言ってんの」
「その言い方からして機嫌悪いだろ!――…ぁ、それから言い忘れてたけど、俺別の玄関から入るから、途中で多分別れることになるから」
「…は?」
なに言ってんの。
「やっぱ不安なんだ~?まあ頑張れよ?あ、学校着いた」
いくらなんでも受験の日に不安にならないわけないじゃない…
「――ちょちょっと待ちなさいよ」
「なした?」
「…え、なんで!?真琴と同じ玄関であたし入るんじゃないの!?」
「……あのな~。いくらなんでも、受験生と同じ玄関に入るわけにいかないだろ。それに―…先生方からも、他の玄関から入ってこい言われてるしな。ま…、杏奈は昨日、友達と下見に行ったんだろ?」
「……一応?」
「なら大丈夫だろ。まあやるだけのことはやりきったんだ。あとは解くだけ。終わって帰って来たら――、あ、杏奈が入る玄関着いた。…んじゃ、頑張って。俺はそんなことしか言えないけどな…」
「帰って来たら――…のあとは?」
「なんでもねえ。ほら、友達っぽいやつが玄関にいるぞ、行けっ!」
そう言われて、ドンって背中を押されてあたしは行くしかなかった。
「う、うん!頑張るよ、あたし。じゃあ真琴もお仕事頑張って!」
「おう!おまえもな~、じゃあな」
そう言い残し真琴は走って行ってしまった。

