彼が残してくれた宝物


「ママ。 パパね? ずっとママの事忘れずにいたんだって? ママの写真をずっとペンダントに入れて持ってたんだって! そうだよね、桜井さん?」
と言う奏輝に、桜井さんは「はい。左様でございます。」と、言う。

本当なの?

彼を見ると恥ずかしそうに、クビに掛けてあったネックレスを外しロケットの中の写真を見せてくれた。

「誠が受ける手術は、とても難しいと言われていた。
両親は心臓手術に関しては名高い先生を探し、手術を頼んでいた。
徹が死んで、俺もいつかは…と思ったら…
怖かった。
両親も、俺まで失いたく無いと、思ったらしく、
徹が受ける筈だった手術を俺に進めて来た。
俺もいつ、徹の様になるかもしれないからね?」

「じゃ、本当に私の事…。」

「愛してた。 今も愛してる。」

その言葉を聞いて、嬉しくて周りの事など考えずに彼に抱きついた。

「もっと早く教えて… 会いに来て欲しかった。 馬鹿!」そう言って、彼の胸を叩いた。

「ごめん。 彼奴がもっと早く教えてくれたら、良かったんだけど?」

彼奴?

「居るんだろう伸! いい加減出てこいよ?」

え?
誰?

「やっぱりバレてたか?」

「え!? あなた!」
そこに居たのは伊藤課長の弟さんだった。

「「あっしんちゃん先生だ!」」と律輝と奏輝が言った。

え? しんちゃん先生?

「えっちょっと待って、頭が混乱して訳がわかんない。」