彼が残してくれた宝物


「なんだ。 そう言うことか…?」

「え?」

「全て嘘で、弟さんが亡くなったから、偽恋愛しなくて良くなった? だから姿消したって事でしょ?」

「それは違う!」

「何が違うのよ!? 愛していないのに、よく平気で愛してるなんて言えたもんね!?」

「桜、聞いてくれ? 俺の話を聞いてくれ? たのむ。 俺は、徹の代わりではなく、本当に、桜を愛したんだ。」

「そんな嘘、誰が信じるもんですか!? たった三文字よ? たった三文字だけ残して、姿消した人の話信じられるわけないでしょ!?」

「それに関しては謝る。手術が成功する確率が低いのに、君を俺のモノに出来なかった。 結婚して、直ぐに未亡人にさせる事なんて、出来なかったんだ…。」

「手術…?」

「誠様は、徹様が受けるはずだった手術を受ける事になったのです。 ですが、心臓手術にはリスクが多ございます。 ですから、誠様は、桜様を諦め、あの様な形で姿を消したので御座います。」

彼の代わりに話してくれたのは、両手に奏輝と律輝と手を繋ぐ、桜井さんだった。