とっさの行動だったから何を話そうか全く考えていなかった。

でも、なにか話さないと。

そして出てきた言葉といえば、

「あ、あの。お名前は?」

なんて、自分でもびっくりした。

こんなこと聞くつもりも無かった。

大体、人に無関心な自分が何故彼の事を気にするのかすら、分からなかった。

そして彼も同じようで。

さっき腕を掴まれたときよりも目を見開いて、じっとしていた。

そんな時間が数秒続いた後。

「秋山響.......。」
「え?」
「えって.......、俺の名前。秋山響(あきやまひびき)。」
「あ、秋山君。」

答えてくれた。
こんな見ず知らずの女の突然の質問に。

それだけで私は彼は優しいんだろうと思った。