....... 「お母さん!どうして?どこいくの?ねえ!お母さん!」 幼い私が必死に母をよぶ。そんな私に母が、 「ごめんね、加那。側にいてあげられなくて。お願い、許して。」 ねえ、何それ?許すって、何を? お母さんはお母さんで、それ以外の何者でもない。 なのにお母さんは私の前から姿を消そうとしている。お父さんは、家から出てこない。 どうしてこんなことになったんだろう。 小さくなっていく母の背中を、私は追いかけることが出来なかった―。