闇に咲く華



「私も名前でいいよ。こういうの、仲良いって言うのかな。まったく嬉しくないんだけど」


「そうなの?」


「だって、大牙ってホントうるさいし」


「まあ、姫乃ちゃんかわいいし、ショートだしね」


大牙のショート好きは、誰もが知っているらしい。


「そんなことないよ。スタイルなんか、まあまあ以下だし」


「まあまあ以下って?」


「ううん、いいの。ていうか、髪形がタイプって意味わかんないんだけど。だってさ、髪形なんてどうとでもなるし、どうとでもなることで好きも嫌いもないと思わない?」


「そう言われてもれば、そうかも」


「でしょ? 長いのがよければ伸ばせば伸びるし、短いのがよければ切ればいいだけだよね」


「そうだね」


「どうにでもなることで、好みとか意味わかんない。好みってのはさ、もっと自分では変えられない部分を対象にするべきだと思うんだけど」


髪形だとか、服なんてのは取り換えれば、どうとでもなる。


だけど、足が細くて長いだとか、顔が特別かわいいだとかは、簡単にどうにかなるものでもなく。


そういう部分を言うならわかるんだけど……。