あたしね、イービルのことを最後まで嫌いになれなかった。


どうしてだろうね。



あたしに見送られながら、イービルは「ごめん」と「ありがとう」をありったけ残して、空よりもずっとずっと高いところへ昇っていった。


どこにも闇の跡がなくなった世界も、消える。


やっと、“あたし”になれる。



うっすらと聴こえてくる歌を頼りに、走り出した。


あたしの帰りたい場所へ。