『ぶつかってきた子が誰か、わかります?』


『確か、バレー部の……』



“彼女”が、屋上に姿を現した。


太陽によって透けた栗色の髪を、風がさらう。




『――雛森さんだったと思うわ』




“彼女”……唯夏ちゃんと、目が合った。


一瞬の静寂を、唯夏ちゃんの朗らかな笑みが消した。



「もしかして、この手紙を出したのって、琉美先輩ですか?」



唯夏ちゃんが私からの手紙を見せながら、問いかける。


その自然すぎる態度に、芝居っぽさを感じた。



「あれ?利一もいるじゃん。あ、利一があたしに、こんなイタズラ仕掛けたの?」


「イタズラじゃないよ」


「イタズラじゃなかったら何なのよ。あたし、これから部活あるんだから、用があるなら早目に済ませてよね」