【芹side】




四月下旬、俺は悪魔と出会った。




真夜中に、稲妻が脳内に轟いた。


目が覚めた時には、俺の意識にうっすらと催眠魔法がかけられていた。


操り人形になったような、自分が自分じゃなくなる感覚。


不気味で、哀れで。


拭いきれない気味悪さが、俺の内部に畳み掛けられていった。


それでも、まだ洗脳が浅いため、“六沢芹”でいられた。



前世を思い出した日の放課後。


日直だった俺は、少し遅れて部活に行こうと教室を出た。


誰もいない廊下を、夕焼けが彩る。


すると、前方から誰かが歩いてきた。


“誰か”の影が、やけに淀んで見えた。



『デス・ディメント』



“誰か”の唇が、はっきりと囁いた。