悪のエネルギーの残り香に沿って、イービルが逃走したと思われる経路を進んでいく。


走って、廊下の角を曲がると。


誰かとぶつかりそうになって、急ブレーキをかける。


曲がった先にいたのは。



「サエちゃん……?」


「あら、小倉さんおはよう」


「お、おはようございます」



廊下に散らばったプリントを集めていたサエちゃんに、目を丸くする。


え?


サエちゃんが、イービルだったの?


キョロキョロと辺りに視線を巡らせても、他に怪しい人物はいなくて。


イービルがいた跡は、先生や生徒の気配に溶けてしまっていた。



ごくり、と生唾を飲み込む。


本当に、サエちゃんが……?



「サエちゃん」


「なあに?」



嫌な汗が、額に滲む。


どうしても、疑ってしまう。


私は、プリントを拾うのを手伝いながら、それとなく聞いてみる。



「どうして、ここに?」