驚く利一くんに、クッキーを差し出す。


唯夏ちゃんの美味しそうなマフィンの後じゃ、返品されちゃうかもしれないな。


私は唯夏ちゃんみたいに、料理の才能ないし。



「利一、もらわないの?」


「な、なんだか、おこがましく感じて……」



唯夏ちゃんに急かされた利一くんは、恐縮そうに俯いた。


おこがましいなんて、思わなくていいのに。



「利一が受け取らないなら、あたしがもらっちゃおうかな~」


「だ、ダメっ!!」



唯夏ちゃんがクッキーを手にする前に、利一くんがサッとクッキーを取った。


ニヤリと口角を上げた唯夏ちゃんに、利一くんは顔を真っ赤にさせる。



「琉美先輩、わざわざありがとうございます」


「こちらこそ、この前はありがとうね」



お互いにお礼を言って、別れを告げた。