【怜司side】




帰り道に、影が伸びる。


小倉に言われた言葉を思い出して、舌打ちをした。



『ラジは、すごく優しくて……っ』



なんだよ、あれ。


俺は優しくないって、遠まわしに言いやがって!


むっかつくんだよ!!


イライラして、足元に転がっていた石を思い切り蹴った。


石は思わぬ方向に飛んで、塀に衝突して跳ね返り、俺のこめかみに当たった。


意外に痛くて、こめかみを抑える。


ちっくしょう。



「……んなこと、あいつに言われなくたって、わかってるよ」



俺が、冷たいってことくらい。


自ら、そう装ってんだから。


それなのに、なんで、



「こんなに、動揺してんだよ」