「何をバカなことを……!」
「オーロラは罪人なんかじゃねぇよ。どんな奴にも笑顔を向けてくれる優しいオーロラを、殺すなんて間違いだ!」
「女王様の、国のご意思じゃぞ。それに逆らうというのか!!」
声を荒げた老人は、顔を歪めながらラジを睨む。
ラジは、老人に屈することなく、食い下がった。
「では、一億テラスはどうするんですか?ラジさん」
住人の集団の中から前に出てきたのは、とある少年だった。
少年の漆黒に染まったサラサラな髪が、風になびく。
前髪で左目が隠れている少年は、老人の隣に並ぶと、穏やかな口調で続けて言う。
「あなたが盗んだ一億テラスは、僕と魔法学校の生徒達が必死に集めた、女王様に捧げるお金ですよ?」
「だから、それは俺が盗んだわけじゃねぇって!」
「でも、あなたしか考えられないんです」
ラジと黒髪の少年の会話に、私は目を丸くした。



