ストーカー犯の嬉しそうな顔が、一瞬にして崩れていく。
『二度と俺に近づかないでくれ』
こんな面倒事、もううんざりだ。
誰にだって、優しくなれない時がある。
沈んでいく夕日が、俺に寄り添ってくれているようだった。
そして、ストーカー犯は俺が出した条件に辛そうに頷いて、俺に盗んだ物を全て返し、帰っていった。
俺は一件落着し平穏に過ごせると思っていたのだが、数ヵ月後に今度は別の女子に物を盗まれたり、新任の先生にストーカーされたりして、俺の悩みは尽きなかった。
“好き”という感情が、よくわからない。
今まで、ネジの外れた狂った恋情しか見てこなかったから、そう思うのかもしれない。
誰かに恋をすることに、知らず知らずのうちにブレーキをかけているのだとしたら。
それはきっと、恋に対して恐怖心を抱いているからだろう。
高校生になって、そういう厄介なことは大分減ったと思う。
けれど、中学の同級生にプレイボーイだという噂を流されて、女好きというレッテルは貼られたまま、高校三年生になってしまった。



