ラジは何も言わず、ただ黙って老人を見据えていた。
「……まあ、いい」
小さく息を吐いた老人は、私を指差す。
住人達の視線が、私をグサグサと容赦なく突き刺していた。
「今、そいつを殺せ」
あぁ、そうだった。
私は、バカだった。
この国は、私の敵。
私のことを罪人だと思っているこの街の住人達が、私なんかに情報をくれるわけがない。
私を殺そうとするに、決まっている。
どうして、そんな簡単なことに気づけなかったのだろう。
きっとラジは、こうなることがわかっていて、ずっと辛そうにしていたんだ。
私に、安息できる場所はない。
逃げ場は、ない。
それでも、旅をしようと決めたんだ。



