琉美ちゃんが悪霊を払うと、琉美ちゃんの友達は悪霊によってかけられた負担によって、倒れ込んでしまった。


気を失っているだけだとわかると、琉美ちゃんは深く安堵した。



それから、すぐに意識を取り戻した琉美ちゃんの友達は、昼休みになって購買に行ってからの記憶を悪霊に消去されていた。



「何かあったの?……ていうか、どうしてここに江藤駿先輩が!?」



琉美ちゃんの友達は、ぽっかり空いた記憶のことをあまり気にせず、通常運転に振舞う。


俺と琉美ちゃんは顔を見合わせて、安心の笑みを浮かべた。



「これ、よかったら食べて」


「え!いいんですか?」



俺は、屋上に来る前に買っておいたパンを一つ、琉美ちゃんの友達に渡した。



「じゃあ、またね琉美ちゃん」



ひらひらと手を振ると、琉美ちゃんは無垢な表情で手を振り返してくれた。


か、可愛い……。


俺は激しい動悸に堪えながら、屋上を去った。