佳那は私の喉をきつく鷲掴みながら、フェンスに私をぶつけた。
背中が、ジンジンと痛み出す。
「や、め……っ」
歌わなくちゃいけないのに、歌えない。
こんなところで、死にたくない。
精一杯抗っても、佳那の殺意は消えなくて。
苦しさが増していく。
無理してでも歌おうとするが、首を掴む佳那の手の力が強まって、口から漏れるのは呻き声ばかり。
佳那を纏う霧は、だんだんと元の濃さに戻っていった。
どうしたらいいの?
このままじゃ、佳那に殺されてしまう。
何か、起死回生の方法はないの!?
……私は生きるんだ。
生きて、運命を変えるんだ。
私の気持ちとは裏腹に、喉は締め付けられていく。
ひと粒の雫が、頬を濡らす。
汚れた空気で満ちた、屋上の一角で。
私は決して諦めずに、佳那の手をなんとかしてどかそうと、足掻き続けた。



