「悪夢を終わらせられたのは、琉美先輩のおかげです」



……違う、違うよ。


私はただ、歌を歌っただけ。


オーロラの能力を使って、光のエネルギーで利一くんを照らしただけ。


魔法を解除できたのは、利一くんの中に、生への強さがあったからだよ。



「本当にありがとうございました」



利一くんの素直さが、私の涙を誘導する。


私の方こそ、感謝させて。



「利一くん」


「はい」


「生きていてくれて、ありがとう」



利一くんは、私の目の縁に溜まっている涙を、指の腹で拭ってくれた。



ねぇ、利一くん。


利一くんは誰かの役に立ちたいって言っていたけど、もう叶ったね。


私を守ろうとしてくれた。


私のために動いてくれた。



私の言った通りだったでしょ?


――大丈夫だよ。利一くんなら、大丈夫。



利一くんは、自分が思っている以上に、優しくてかっこいいよ。