江藤先輩は、不安げにチラチラとこちらを窺う。
子犬みたいで、愛らしい。
「小倉琉美っていいます」
「琉美……ちゃん」
私は笑顔を浮かべて自己紹介をしたら、江藤先輩が一歩前に出た。
「俺と友達になってくれないか?」
また、予想外なことが起こった。
びっくりしすぎて、言葉を失う。
江藤先輩は私の反応を見て我に返り、金魚みたいに口をパクパクさせる。
……やっぱり、江藤先輩が女たらしだとは、どうしても思えない。
だって、目の前にいる江藤先輩は、私と友達になろうと精一杯に頑張っていて、慣れない感情に振り回されているようだから。
「もちろん、いいですよ」
「ほっ、本当に?」
「はい。これからよろしくお願いします、江藤先輩」
私がふわりと微笑むと、江藤先輩は嬉しそうに口元を緩ませた。
せっかく元通りになった頬は、また赤色に染まっていった。



