「あー!」
少し落ち着いた時、誰かの大声が耳をつんざいて、炭酸ジュースをこぼしそうになる。
声のした方に顔を向ければ、そこには私を見て慌てている人がいた。
あの人が、大声を出したのかな。
あれ?あの人って……。
「あ、その、ど、どうも」
「……どうも、です」
あ、やっぱり、一昨日私を助けてくれた人だ。
名前は江藤駿、だった気がする。
「先日は本当にありがとうございました」
「いやいや、怪我がなくてよかったよ」
佳那は江藤先輩をプレイボーイって噂してたけど、本当にそうなの?
私には、チャラ男ではなく、紳士的な人に見える。
「あ、あのさ」
自分の上擦った声を恥ずかしがる江藤先輩に、私は目を細めた。
江藤先輩のおぼつかない態度は、まるで女の子に慣れていないようだった。
「名前、聞いてもいいかな?」
「名前ですか?」
想像していなかった質問だったので、思わず聞き返してしまった。



