諦めの悪い佳那が、ねっとりとした視線で疑わしそうに私を射る。
近くにいるクラスの女の子達も、聞き耳を立てている。
正直に、前世からの仲なんだ、って言っても信じてもらえないんだろうな。
「わ、私が間違って、椎本くんのことを下の名前で呼んじゃったんだよ」
私は、仕方なく嘘を吐いた。
「あたしには“ラジ”って聞こえたけど」
「“怜司”を“ラジ”と聞き間違えたんじゃない?」
強引すぎた?
内心ヒヤヒヤしていると、佳那は「なーんだ」とつまらなさそうに肩を下げた。
「そういうことなら、早く言ってよね」
「あの時はパニクっててさ」
「琉美と椎本くんが付き合ってるのかと思っちゃったよ」
嘘がバレなくてよかった。
佳那、騙してごめんね!
お詫びに、今度佳那に何か奢ろうかな。
「けどさ、あたし初めて見たよ」
佳那はおにぎりを食べながら、話す。
「椎本くんが誰かに挨拶してるところ」



