冷酷でムカつく奴だとばかり思っていたのが嘘みたいに、椎本くんの穏やかさを感じる。


ただ私が椎本くんのことをちゃんと見ようとしてなかっただけだったんだ。



「ちょっと、どういうこと!?」


「あ、佳那おはよう」


「琉美、椎本くんと付き合ってるの!?」



私と椎本くんの挨拶を後ろから聞いていた佳那は、私に挨拶を返さずに、単刀直入に問いかけた。


はい!?


付き合ってる!?



「そんなわけないじゃん」


「じゃあ、どうして椎本くんのことを変なあだ名で呼んだの!?」



佳那が鼻息を荒くして、続けて質問を投げかけた。


変なあだ名って、何?


椎本くんをあだ名で呼んだ覚えはな、い…………あ、呼んだかも。


前世の名前で、「ラジ」って。



「あー、えっと、それはその……」


「どういうことか、説明してっ」