ラジ、グリン。


そんな寂しそうな顔をしないで。


私が生きている間は、泣かないで。


なんて、わがままだよね。


大丈夫だと言って安心させたいけど、こんな状況じゃ、一発で嘘だと見抜かれちゃうよね。



「オーロラ……」


「お、お、おーろ、オーロラ」



ラジの透明感のある声も。


グリンの陰っている声も。


なぜだか、とても愛おしい。




「♪~~み、……っ……」




ラジが私の右手を、グリンが私の左手をギュッと握った感触を、朦朧とする意識の中で、はっきりと感じられた。


痛みが麻痺して、体温が凍てついて、声が出せなくて、呼吸がうまくできなくて。


二人の熱いくらいの体温が、心地よい。




「♪~~見たい、ん、だ~~♪」




せっかく歌えた歌は、女王様まで届かずに、私の足元で急降下する。


重い瞼を開けながら、目を女王様に移せば。


思うように身体を動かせないはずの女王様が、ゆっくりと片腕を上げていた。