それじゃあ、女王様達が攻撃してきたらどうするの?



「お前が歌で救っている途中で、敵がお前を殺そうと襲いかかってきたら、俺達がお前を守ってやる」



シエルの真剣な眼差しに、思わず頷きそうになった。


けれど、ぎこちなく首を横に振る。



そんなの嫌だよ。


二人を身代わりにするってことでしょ?


二人が体を張って守ろうとしてくれるのはすごく嬉しいけど、私を庇って傷つく姿は見たくないよ。



「私にはいやしの歌しかないし、戦闘能力はほとんどない。それでも、私にも二人を守らせて」



本当はね、わかってるの。


私が何を言っても、二人が私の盾になってくれることくらい。


だから、「そんなことしないで」とは言わないよ。


その代わり、私にも同じ傷を負わせて。



「お願い」



激しい雨音のせいで小さくなった声を、二人は聞き逃すことなくすくい取ってくれた。



「あぁ、わかった」


「お互い、守り合って、助け合おうぜ」



渋々頷いたシエルの肩をポン、と軽く叩いたラジが、明るく微笑んだ。


……大丈夫だよね。


私達なら、どんな試練だって超えていける。