オーロラの歌





嫌いだった。



お母様がいやにこだわる、いやしの歌も。


こんな目に遭うことのきっかけになった、王家も。


お父様を殺し、僕を無理やり従わせているお母様も。


お母様が頂点に立つ、この世界も。


新たな憎しみをお母様の心に生み出した、義姉も。



心底、大嫌いだった。





数日後、僕はお母様の洗脳が解かれた瞬間を狙って、お母様の目を盗んで、オーロラという名の少女がいるジェネシスの森に、テレポーテーションして行ってみた。


きっと、嫌いな少女を一目見ておきたい気持ちと、幼い子どもらしい好奇心が、僕に突飛な行動をとらせたんだと思う。



ジェネシスの森の奥の奥の、そのまた奥にある小さな家。


その家の窓から顔を出し、小鳥達に歌を紡いでいる、エメラルドグリーンの美しい髪をした、とある少女。



『……オーロラ?』



初めて少女を見たのに、顔なんて知らなかったのに。


なぜかすぐに、楽しそうに歌うあの少女がオーロラだとわかった。



神聖なジェネシスの森にいるから。歌を歌っているから。


浮かんだ理由は、どれも外れているように感じた。